『ナナシス』は素晴らしいのに、なぜ思ったほど売れないのか?

 

はじめましての次から何を抜かしてるんだという感じですが。人の話を聞かずに自分の好きなことについてだけ語りたがるオタクの習性ですかね。日常生活ではそんな真似できないので、どうかネットの世界では好き勝手やることをお許しいただければと思います。

 

それと、最初の記事はなろう小説もビックリというくらい改行をしすぎたきらいがあるので、ちょっと詰め気味でやっていこうかな。

 

 

さて、みんな『ナナシス』って知ってるかな?もちろん、『ナナシス』は曲が良いことで有名だからオタクのみんなは知ってるよね。……というのは冗談にして。

 

ナナシス』もとい『Tokyo 7th シスターズ』というコンテンツがあります。時は2034年、アイドル氷河期と呼ばれる時代に……長くなるので割愛するとして、ようはよくある”二次元アイドルゲー”です。かわいいキャラクターたち、魅力的な曲、そしてストーリー。『アイマス』『ラブライブ!』『バンドリ!』(ちょっと違うか)だとか、最近だと『Re;ステージ!』『22/7』など、いろいろありますよね。まさにアイドルゲー戦国時代の様相を呈してきたこの頃。

 

ナナシス』は今から六年ぐらい前にスタートしています。『デレマス』が今やってるライブが7thですから、意外と足並みそろえてやってきてるわけですね。

 

『デレマス』の7thライブはドーム公演を含めたツアーです。『ナナシス』のライブ規模は昨年の5thが幕張メッセ。6thはどこでやるのかわかりませんが、きっとドームでライブをすることはないと思います。

 

コンテンツの大きさというか、広がりを見る指標はいろいろですが、やっぱり二次アイドルゲーはライブの規模を見たほうが早いです。そしてこの『ナナシス』の幕張メッセという規模はどうかと言いますと、ぶっちゃけかなり大きいほう。ドーム公演を行う『デレマス』や『ラブライブ!サンシャイン』には見劣りしますが、とても立派です。

 

しかし『ナナシス』は、幕張メッセでライブをするコンテンツにしては、売れていない。

 

原作ゲームも、CDも、お世辞にも売れている数字ではない。ほかのゲームとコラボもしないし、この業界ではマストなはずの「アニメ化」すら成し遂げていない。

 

あんまり言うと貶しているようであれですが、本当に利益を上げられているのか疑問に思うほど。僕もどうにかして売れてほしい、と何度も願ったコンテンツですが、どうも景気はよくないみたいです。

 

ナナシスは周知のとおり、とても魅力的な楽曲を持っています。キャラもかわいいし、ストーリーもしっかりと作りこんである。普通に考えて売れないのはおかしい!と僕の内なるオタク魂は叫びたい。でも『ナナシス』というコンテンツを知っていくと、なかなかバズらない理由が少しずつ見えてくるのです。

 

それは、

 

①プロモーションが弱い

②ゲームの定着率が悪い

③「きっかけ」になかなか巡り合えない

 

全部ただの持論なんですが、取り立てて見当はずれだと思われる方は少ないんじゃないかなぁと思っています。

 

①プロモーションが弱い

ナナシスはなかなか表に名前が出てこないコンテンツです。大本の会社が小さいので、それほど広告に回せるお金がないのでしょうが、まあCM見ませんね。たまーにネットの広告とかであったりもしますけど、まず「知らねえや」という人が多い印象を受けます。オタクやってたらアイマスラブライブは嫌でも耳にするけど、ナナシスって話題に出ることも少ない。知る人ぞ知るみたいなところがあります。

 

②ゲームの定着率が悪い

これはかなり致命的です。μ’sが文字通りゼロからの伝説を作り上げたのはどうしてでしょうか。それは『スクフェス』が爆発的な人気を生み出したから。同様にデレマスやバンドリが人気なのも、それぞれに『デレステ』『ガルパ』という強いタイトルを持っているから。二次アイドルにおいて、ともかく重要なのはゲームなんですね。

 

じゃあナナシスのゲームは、と言うと。

 

お世辞にもバズってません。やってる人もほぼ見かけないです。こうして書いてる僕も、ログインしかしてません。

コンテンツそのものが人気になるには、少なからず原動力が必要です。利益を生み出し、顧客を生み出し、展開を生み出すもの。二次アイドルたちにとってのそれは、まぎれもなく「ゲーム」なのです。

試しに触ってみる人がまったく定着しない。定着しないともちろん、人気には繋がりません。

 

③「きっかけ」になかなか巡り合わない

これは上二つにも通ずることですが、なかなかナナシスを知ってもらう、魅力に気付いてもらうきっかけが少ないんですね。いろんな人が「ナナシスのここがいい!」「ここがすごい!」みたいなことを言っていると思いますが、ほとんどの人は「ふーん、そうなんだ」ぐらいにしか気に留めていないんですね。

やはり数は力です。多くの人が寄り集まるところは、みんな大好きなんですよ。百人が「すごい!」って言ってるコンテンツと、十万人が「すごい!」って言ってるコンテンツ、みなさんだとどっちに行きますか? 九割は後者に行くと思います。僕もそうです。

現状のナナシスは残念なことに、数の力が足りません。たまにその魅力に気付いて情報発信を積極的にしてくれるファンが出てきても、やっぱり埋もれてしまう。どれだけロジカルにナナシスの素晴らしさを力説したところで、数の前にはてんで歯が立たない。

 

 

……とまあ、それっぽく理由を挙げ連ねてみたわけなんですが。

 

本当のところですね。ナナシスは「思ったほど売れない」わけじゃないんです。

ここまでベラベラ書いておいて何こいつ、と思われるかもしれません。でも僕が真に書きたいのは、ここからのことなんです。

 

ずばり、

 

ナナシスは積極的に売れようとはしていないし、なんなら売れなくてもいい(と、トップが判断している)

 

なんだそれ?と思う方もいるでしょう。

正直、ホントのところは売れたくて売れたくてしょうがないかもしれませんよ?僕の個人的な所感なので、まったくの見当はずれという可能性もないわけじゃない。

でもやっぱり、僕の目からしたら、ナナシスは「そこまで売れようとしていない」。

 

普通に考えたら、売れようとしない、なんてアリエナイですよね。自分がコンテンツの責任者だったら、どうにかしてこのコンテンツを成長させて、一山当てたい。そのために出来ることはなんだってする!と意気込むでしょう。

 

でも、ナナシスのプロデューサーは、アイマスラブライブ、そしてバンドリ!のように、売れることを第一に考えていません。(※利益を出すことは、もちろん考えていると思いますが)

売れることを第一に考えない。だからこそ、今のナナシスがあるとも言えますけどね。

 

ナナシスのプロデューサーさん(以下、Pさん)は、メディアミックスに大変慎重なことで有名です。僕たちの見えないところでは、きっとたくさんのオファーがあったと思います。それはもちろん映像化だったり、コラボだったりするわけですが……Pさんはそのほとんどを、お断りされているみたいなんです。

 

メディアミックスといったら、金の生る木じゃないですか。話題の『鬼滅の刃』は、アニメ化によって原作の売り上げが何倍にも伸びて、今は単行本すら品薄の状態。アニメもまあいろいろ言われるんですが、本当に当たればデカいんです。

 

  ☆

 

あなたが、小さい企業でアイドルものの企画を任せられたとしましょう。どうにかゲームを配信するとこまで漕ぎつけ、さあこれからどんどんコンテンツを大きくするぞ、といった頃合いに、大手の企業からこんな依頼が来ました。

 

「あなたのやっているコンテンツを、ぜひうちに任せてください。アニメ化もさせますし、広告もバンバン打ちます。必ず売り上げも伸びますよ」

 

普通なら最後まで聞き終える前にうんうんって頷きますよね(笑)。僕もこんな機会はない!とか思って二つ返事すると思います。

でも、それは大きな罠でもあるんです。

 

あなたがその誘いに頷くと、そこからあなたのコンテンツは、あなたのものではなくなっていきます。

 

もちろん、あなたの意見は最大限に尊重されるかもしれません。しかしあなたは決して少なくないお金を受け取っています。それは大半が、コンテンツに対するロイヤルティーとして支払われるものだと思ってよいでしょう。

 

あなたに物事を決める権利はなくなりつつあります。いつしかコンテンツの主導権は相手に渡ってしまいました。あなたにお金は入り続けますが、手塩にかけたあなたのコンテンツは、知らず知らずのうちに、自分のものではなくなっていくのです。

 

  ☆

 

…とまあ、ちょっと大げさに盛りすぎてしまったところもあるわけですが。

 

コンテンツを持つ身として、そこは本当に大きな分岐点となるでしょう。売り上げが多少伸びずとも、コンテンツを大事に育てていくのか。あるいは、どこかの大手企業をバックにつけて、コンテンツそのものの爆発的な成長に賭けてみるのか。

 

ナナシスに関しては、間違いなく前者を選んでいる。そして結果的に、その「賭け」は成功しているんだと、僕は考えています。

 

というか、少し創作をかじっている身からすると、ナナシスのPさんはめちゃくちゃ勝ち組なんですよね。ナナシスのすべてを司るわけですから、誰にも邪魔されることなく、自分だけの世界を構築し続けていくことができる。そのうえ、そんなナナシスの世界に魅了されて、こんなくっさいブログを書いちゃうファンも付いてくるんですから、Pさんはニヤニヤだと思います(笑)

 

ナナシスのPさんは、ほとんどすべての楽曲の作詞に携わっています。また、ゲーム内のストーリーなどもすべて一人で考えているみたいなんです。

 

一人で考えるということの重要性。

 

みなさんも経験あると思います。みんなで何かプロジェクトをやるとしましょう。意見はなかなかまとまりません。とりあえず多数決で、一番よさげなものを通してみる。でもそういうものって、なかなか上手くいかない。所詮それは多種多様な意見の上澄みでしかありませんから。

 

往々にして、一人でやるべきものを複数人でやると、どうにもとっ散らかった印象になります。筋が荒いんです。完成したものを見て「なにこれ?」となっちゃうことも少なくありません。

 

他人に投げっぱなしのほうが、当人としても明らかに楽なはずです。それに、今よりも確実に多くのお金が入ってくるでしょう。それでもPさんは一人のまま、ゆっくりとコンテンツと共に歩んでいく道を選んだ。

コンテンツを一人だけで生み出していくことは、途方もなく煩雑で大変な作業です。しかし、だからこそ揺るがない「筋」を一貫させることができる。もちろん技量が要りますが、これほど理想的なコンテンツの形はないのではないか、と思うほどです。

 

 

ナナシスは確かに思ったよりも売れていないかもしれない。でも、他の売れているコンテンツにはない大きな魅力がある――それは、揺るぐことのない統一された世界観であり、楽曲であり、テーマ性なのです。そしてそのことを、生みの親であるPさんが他の誰よりもよく分かっている。だからナナシスは唯一無二で、素晴らしいコンテンツなのだと――胸を張って言いたいのです。

 

 

 

 

……これだけ語っといてなんですが、筆者はおもっくそニワカ支配人なのでした。

 

6thライブがあるのならぜひ初参戦したいですね。現場からは以上。